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Laser microdissection(LMD)法
貴島 賢
1
1九州大学整形外科
pp.352-352
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_352
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レーザーマイクロダイセクション(laser microdissection:LMD)法は,顕微鏡下に組織切片を観察しながら,特定の単一細胞,または特定の領域全体をレーザーによって切り出し,回収する手法である1).回収したサンプルを,リアルタイムPCR,プロテオミクス,次世代シークエンシングをはじめとした分子生物学的な手法で解析することで,in vivoにおいて,どの細胞,組織で,どの遺伝子,蛋白質が,どれくらい発現しているかを正確に知ることができる画期的なシステムである(図1,2).
これまで,細胞を選択的回収する手法として,fluorescence activated cell sorting(FACS)とtranslating ribosomal affinity purification(TRAP)が行われてきたが,これらの手法は,細胞単離のために,細胞外マトリックスなどが存在するソリッドな組織に対し,酵素解離処置をする工程が必要であり,メッセンジャーRNA(mRNA)や蛋白質や細胞収率が低下するという問題点があった.LMD法は,この酵素処理が必要ないため,酵素処理による収率低下の影響を受けることなくmRNA,蛋白質,細胞を回収できる.さらに,細胞独自の構造を維持したまま回収し,発現遺伝子解析を行えるという利点もある3).
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