整形トピックス
ES細胞由来運動神経細胞移植による末梢神経の運動機能再建
新海 宏明
1,2
,
丹羽 智史
1,2
,
佐伯 将臣
1,2
,
平田 仁
1
,
岡田 洋平
2
1名古屋大学手の外科
2愛知医科大学内科学(神経内科)
pp.1322-1322
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_1322
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ES細胞(胚性幹細胞)・iPS細胞(人工多能性幹細胞)を利用した中枢神経や脊髄に対する再生医療が盛んに行われ,その研究は日々進化している.対して筋萎縮性側索硬化症(ALS)など運動ニューロン変性疾患や外傷性末梢神経障害における運動機能再生についての試みはまだ歴史が浅く,研究の余地がある分野である.一方で,マウス坐骨神経切断モデルに対して運動神経細胞移植し運動機能を再建したという報告があり1,2),Nakanoらのグループでは,ES・iPS細胞由来運動神経前駆細胞を用いた末梢神経系の運動機能再建を試みている3).末梢神経系は中枢神経よりアプローチしやすく,再生医療の中でも実現しうる可能性が高いものと考えられる.さらに再建しうる機能が限局的であっても,運動神経の電気的制御を行うことで四肢骨格筋や呼吸筋の機能制御が可能となれば,原疾患にとらわれない究極の運動機能再建法として,患者に福音をもたらす有意義な技術となるはずである.
© Nankodo Co., Ltd., 2018