最新基礎科学/知っておきたい
脂肪由来幹細胞移植
林 克洋
1
,
土屋 弘行
1
1金沢大学医学部整形外科
pp.864-866
発行日 2011年9月25日
Published Date 2011/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102111
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■幹細胞移植による再生医療
幹細胞と再生医療は,医療従事者から一般の人まで,最も関心のあるトピックの一つである.われわれ整形外科医は,それらにどのように貢献し,どのような恩恵を受けていくのであろうか.
幹細胞は大きく分けて,ES細胞(embryonic stem cell)やiPS細胞(induced pluripotent stem cell)といった身体のあらゆる細胞になる能力を持っている多能性幹細胞と,ある一定の領域の細胞になりうる体性幹細胞とがある.実際にはあらゆる臓器に幹細胞は存在するといわれ2,9-11)その能力もクリアカットに段階をつけるのは難しい.様々な役割をもった細胞に変身する,いわゆる分化能力の高いものから,分化能力の低いものまで種々の細胞がある.多分化能力が高い細胞は,多様な組織への分化が期待される反面,扱い方の煩雑さや腫瘍化のリスクがある.分化能力が低いと安全面で利点があるが,目的とした細胞への分化が期待どおりにいかないなど,それぞれ得手不得手がある.ではこれらをどう使い分けていくか.例えば極めて再生が難しいものや,臓器をまるごとつくる,といった場合にはiPS細胞のような多能性幹細胞を選び,多少なりとも自己再生能が期待される臓器であるが,もう少しボリュームが欲しいときには体性幹細胞を使うという選択ができるかもしれない.
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