特集 大人医師の復習帳―昔の常識,今でも大丈夫?
第2章 循環器
[周術期における抗血栓薬管理]術前に血栓を予防する目的で抗血小板薬・抗凝固薬をヘパリンに置換することは推奨されません
瀬口 優
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科
pp.600-603
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika137_600
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
周術期における抗血栓薬管理の今昔
本邦では超高齢化を反映し,内科疾患を合併した患者の手術症例が増加しています.そのなかには冠動脈ステント留置後や心房細動を合併する患者も少なくありません1).薬剤溶出性ステント(DES)植込み後の患者では,1年以内に非心臓手術を受ける割合が約11%,3年以内では17%近くに達し,70歳以上ではさらに高率であると報告されています2).また,動脈疾患に対する血管外科手術を受ける患者のうち11.5%が心房細動を合併するとの報告もあります3).このように,抗血小板薬や抗凝固薬を内服中の患者が非心臓手術を受けることは日常診療で頻繁に遭遇する課題であり,その管理は臨床的に重要です.
かつては,抗血小板薬や抗凝固薬を中止する際はヘパリンに置換する,いわゆる「ヘパリンブリッジ」が広く行われていました.しかし,近年の臨床研究の結果を背景に,現在は国内外のガイドラインでヘパリン置換は推奨されておらず,周術期のヘパリン置換に関する見解は大きく変化しました.

© Nankodo Co., Ltd., 2026

