特集 急性中毒の初期診療と管理―内科医が読んでおきたい診断・治療のケース集
[Chapter 1] 急性中毒へのアプローチ
急性中毒治療の5大原則
-全身管理,吸収の阻害,解毒・拮抗薬,排泄の促進,精神科的評価
薬師寺 泰匡
1
1薬師寺慈恵病院
キーワード:
全身管理
,
解毒・拮抗薬
,
血液浄化療法
,
精神科的評価
Keyword:
全身管理
,
解毒・拮抗薬
,
血液浄化療法
,
精神科的評価
pp.1002-1009
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika136_1002
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★★★急性中毒は,日常生活に存在する医薬品や家庭用品,嗜好品,さらには自然毒に至るまで,多様な物質によって誰にでも起こりうる病態である.急性中毒は特殊事例ではなく,一般臨床において頻繁に遭遇する領域となっている.
★★★初期対応では,「防ぎ得た中毒死(PTD)」の概念を念頭に置き,救命可能な症例を見逃さないことが重要である.評価と介入の基本はABCDEアプローチに則って行う.
★★★吸収の阻害については,活性炭が代表的であり,可能であれば1時間以内の投与が望ましい.胃洗浄は適応が限られ,実施には気管挿管を要する.催吐は現在ほとんど推奨されていない.
★★解毒・拮抗薬は限られた薬物に対してのみ存在している.常備していない薬剤も多いため,使用可能性と入手手段を事前に確認しておく必要がある.
★排泄の促進には尿アルカリ化や血液浄化法があるが,対象薬物は限られ,透析や血液灌流には薬物の分布容積,分子量,水溶性,蛋白結合率といった性質を踏まえた適応判断が求められる.
★★★自傷行為としての中毒が増加している現状では,精神科的視点も不可欠である.まず身体的安定化を優先し,必要な処置を行ったうえで,精神科への適切な連携を図る必要がある.
★★★:一般内科診療で必要な内容,★★:総合内科専門医試験レベルの内容,★:専門性の高い内容

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