Japanese
English
講座 リハビリテーション医に必要な全身管理(1)
全身管理(総論)
Total Care in Rehabilitation Medicine.
長谷川 寿美玲
1
Sumire Hasegawa
1
1川崎医科大学リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Kawasaki Medical School.
キーワード:
合併症
,
基礎疾患
,
全身管理
Keyword:
合併症
,
基礎疾患
,
全身管理
pp.47-51
発行日 1985年1月10日
Published Date 1985/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105313
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.リハ医の役割
リハビリテーション専門医制度が発足して4年が経過した.リハ医の役割は何なのかを考えると,障害診断を行いリハビリテーションチーム医療のリーダーとして理学療法・作業療法のプログラムを指示するだけではない.患者の全身管理も主治医としてリハ医の役割である.リハ科で取り扱う疾患は小児から老人までの神経・筋・骨・関節など運動器疾患を主体としているが,基礎疾患の治療や長期臥床が必要とされる疾患と,老人の場合には合併症を引き起しやすく,全身管理が大切である.重度身体障害者療護施設での統計調査1)によれば,障害者は健常人に比較して死亡率が高く,特に入所後2年以内の死亡が多いことが示されている.障害者の中でも頸髄損傷などの四肢麻痺で歩行不能な場合は抵抗力も少なくて疾患に罹患してから急激な経過で重篤化しやすい.
リハ医が治療にあたるのは急性期を脱してから,転科あるいは転院してリハ病棟に入院している患者が大部分といえる.しかし前述のようにリハ科入院の必要な患者や,施設入所の必要な障害者では,合併症を生ずるリスクが高い者が多い.基礎疾患を持つ者も多く全身管理はリハ医の重要な役割で,プライマリ・ケア医学と共通する面を持っていると思う2,3).脳血管障害による片麻痺を例にとっても「基礎疾患は何か」が問題になる.高血圧,糖尿病,動脈硬化症,心臓弁膜症などの基礎疾患は再発作を防止するために十分な治療が必要である.また,てんかん発作が合併する場合は抗てんかん薬の処方も必要となる.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.