特集 身近に潜む心筋症を診る―進歩する診断と治療
[Chapter 4] 全身疾患関連心筋症
がん治療関連心機能障害
松居 一悠
1
,
岡 亨
1
1埼玉県立がんセンター 総合内科
キーワード:
がん治療
,
腫瘍循環器学
,
トロポニン
,
グローバル長軸方向ストレイン(GLS)
Keyword:
がん治療
,
腫瘍循環器学
,
トロポニン
,
グローバル長軸方向ストレイン(GLS)
pp.298-302
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_298
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★★★抗がん薬,放射線治療,造血幹細胞移植などのがん治療は,さまざまな心血管イベントと関連する.とくに,抗がん薬によって左室駆出率(LVEF)が10%以上低下し基準値未満に至った状態をがん治療関連心機能障害(CTRCD)とよぶ.
★★★CTRCDは,不可逆的なLVEF低下を示すⅠ型と,減量や休薬によって改善する可能性があるⅡ型に大別されてきたが,この分類にとらわれることなくCTRCDが疑われた時点で速やかに介入することが肝要である.
★★★近年急速に普及してきた免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による心筋炎は時に致死的であるため,速やかな循環器専門医へのコンサルトと強力な免疫抑制療法が必要である.
★★CTRCDの鋭敏な検出方法として,経胸壁心臓超音波検査によるグローバル長軸方向ストレイン(GLS)が注目されている.
★★★CTRCDもほかの一般的な心不全と同様に治療されるが,原因となったがん治療の中断は症例ごとに検討される.心筋症を誘発しうる治療が検討された時点で,循環器専門医との連携が必要である.
★★★:一般内科診療で必要な内容,★★:総合内科専門医試験レベルの内容,★:専門性の高い内容
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