特集 血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
[Chapter 2] 血栓・止血に関連する疾患
C.出血性疾患
後天性血友病A
-自己免疫性後天性凝固第Ⅷ/8因子欠乏症
金子 誠
1
1三井記念病院 臨床検査部
キーワード:
後天性血友病A(AHA)
,
APTTクロスミキシング試験
,
バイパス止血製剤
,
emicizumab
Keyword:
後天性血友病A(AHA)
,
APTTクロスミキシング試験
,
バイパス止血製剤
,
emicizumab
pp.782-787
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_782
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
▪後天性血友病A(AHA)は,凝固第Ⅷ因子(FⅧ)に対する自己抗体によって発症するまれな出血性疾患で,「指定難病288」に登録されている.
▪一般的に高齢者に多い疾患であるが,産褥期にも認められる.特発性のほか,基礎疾患・病態(自己免疫疾患,悪性腫瘍,妊娠・分娩,薬剤性)が発症に関連する.
▪FⅧ値が低下し,インヒビター力価が1 Bethesda単位(BU)/mL以上(阻害抗体の存在)であれば,本症と診断する.院内で可能な活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)クロスミキシング試験が有用である.
▪治療は,出血を抑制するためのバイパス止血療法(活性型凝固第Ⅶ因子を含む製剤を使用)と自己抗体産生を抑制するための免疫抑制療法(IST)である.
▪emicizumabが,AHAに対して適応承認された.ISTを最小限に抑え,長期安静を回避して,早期リハビリテーション開始を可能にすると期待される.
© Nankodo Co., Ltd., 2023