病気のはなし
特発性血小板減少性紫斑病
野村 武夫
1
1日本医科大学第三内科
pp.10-15
発行日 1987年1月1日
Published Date 1987/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203956
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
血小板は止血に重要な役割りを果たす血球で,これが減少すると出血しやすくなり,またいったん出血すると止まりにくい.その場合,出血はどこにでも起きてくるが,皮膚の出血つまり紫斑がもっとも目につきやすいため,この異常を血小板減少性紫斑病と呼んでいる.血小板減少は先天性,後天性のいろいろな病気とか,薬物や放射線の障害によって起こるが,原因がどうしてもわからない場合があり,これが特発性血小板減少性紫斑病(ITP)である.ちなみに医学では特発性,本態性,一次性あるいは原発性という言葉がよく使われるが,いずれも原因不明の意味である.
ITPは出血を主症状とするさまざまな病気の中では経験する機会が多く,また厚生省特定疾患(いわゆる難病)治療研究事業の対象になっており,一般の関心も強いように思われる.そこでこの病気について,医療関係者として当然備えておかねばならない知識のあらましを述べてみることにする.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.