今月の主題 凝固・線溶系の臨床1989
出血性疾患の病態と診断
特発性血小板減少性紫斑病
塚田 理康
1
1虎の門病院・血液学科
pp.2336-2341
発行日 1989年11月10日
Published Date 1989/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222928
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I.特発性血小板減少性紫斑病Idiopathic thrombocytopenic purpura(ITPと略)
ITPは,血小板寿命の短縮,血小板結合免疫グロブリン(PAIg)の増加を特徴とし,骨髄では巨核球数は正常あるいは増加を示し,他の血液疾患の存在を示唆する所見を認めない免疫性の血小板減少症のうち,膠原病,リンパ増殖性疾患,薬剤アレルギーなどの原因疾患の認められないものを指す.
ITP患者血清を健常人に注射し,血小板減少を起こさせたHarringtonら1)の成績は,自己免疫の機序を想像させた.ITP症例において血小板の寿命の短縮2),またITP症例の血小板膜表面に大量の免疫グロブリン(IgG,IgMまたはIgA)あるいは補体の結合が証明され3),血小板自己抗体による末梢血中での血小板破壊の充進がITPの病態と考えられている.
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