特集 血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
[Chapter 2] 血栓・止血に関連する疾患
B.血小板が減少する血栓性疾患
HELLP症候群
千草 義継
1
1京都大学医学部附属病院 産科婦人科
キーワード:
HELLP症候群
,
肝酵素上昇
,
血小板減少
,
ステロイド
Keyword:
HELLP症候群
,
肝酵素上昇
,
血小板減少
,
ステロイド
pp.766-769
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_766
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▪HELLP症候群は,妊娠中あるいは産褥期に,溶血,肝酵素上昇,血小板減少を主徴として発症する疾患である.
▪HELLP症候群は,急激な病状進展をきたし,多臓器障害や脳出血によって母体死亡に至る,きわめて重篤な産科救急疾患である.
▪典型的なHELLP症候群の症状は,右季肋部痛,心窩部痛,嘔気・嘔吐であるため,妊婦はかかりつけの一般内科や救急外来を受診することがある.
▪上腹部症状を訴える妊婦を診察した際には,必ずHELLP症候群を念頭に置き,採血検査によって血小板数,肝酵素を確認し,産科医と連携することが求められる.
▪HELLP症候群の治療法は,妊娠の終結(分娩)であるが,ステロイド投与によって病状の軽減がみられる.
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