臨時増刊特集 診断基準とその使い方
IX.血液・造血器疾患
特発性血小板減少性紫斑病
小宮 正文
1
1筑波大臨床医学系内科
pp.2140-2143
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207619
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
概念
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,これまで原因がはっきり明らかにされていなかった血小板減少性紫斑病を指している.今日では,ITP患者の血小板寿命は0.51±0.43日というように,健康血小板寿命に比べて著しく短縮していることが明らかにされ,血漿中のなんらかの因子が血小板に作用して,その寿命を著しく短くしていることが疾病の主要な病態であることがわかってきた.しかし,血漿中の因子を証明する再現性の高い検査法が確立されていないこと,あるいは血小板寿命が赤血球寿命ほど簡便にルーチンで測定できないこと,などから,今日でも上述した概念が通用している.
ITPは臨床像からみて,急激に出血症状が発現し,数週間ないし2〜3カ月で回復する急性型と,知らず知らずに発症しており,治療を施さないと軽快しない慢性型の2っの病型がある.しかし,出血症状が盛んな,医師を訪れる時期には,2つの病型の臨床像にほとんど差異がみられないので区別はつけがたい.経過を参照しながら両者を識別しているのが現状のようである.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.