特集 血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
[Chapter 1] 血栓・止血の入り口
血栓・止血関連検査の読み方
朝倉 英策
1
,
山田 真也
1
1金沢大学附属病院 血液内科
キーワード:
プロトロンビン時間(PT)
,
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
,
フィブリノゲン
,
Dダイマー
Keyword:
プロトロンビン時間(PT)
,
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
,
フィブリノゲン
,
Dダイマー
pp.705-711
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_705
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▪血小板数,プロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)のみの術前検査を行った場合には,過度の線溶活性化に伴う出血性素因を診断できない.
▪APTT延長時には出血性疾患のみならず,血栓性病態であるループスアンチコアグラント(LA)が原因のこともある.
▪第Ⅶ因子は半減期が短いために,ビタミンK欠乏症や肝不全では早々にPTが延長する.
▪血栓が形成されてプラスミンで分解されると,フィブリノゲン・フィブリン分解産物(FDP),Dダイマーが上昇する.具体的には,播種性血管内凝固(DIC)や静脈血栓塞栓症で上昇する.
▪大量胸水,大量腹水,大血腫においても,FDP,Dダイマーは上昇する.
▪トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)は凝固活性化,プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は線溶活性化のマーカーである.
▪血栓性疾患の検査には,先・後天性血栓性素因の診断,血栓症の病勢評価,抗血栓療法のモニタリングを目的とした検査が存在する.
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