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第7章 腎・泌尿器系に作用する薬剤
[腎疾患用剤]
腎性貧血治療薬
倉賀野 隆裕
1
1兵庫医科大学 循環器・腎透析内科学
pp.944-948
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_944
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・腎性貧血とは,腎臓においてヘモグロビン(Hb)の低下に見合った十分量の造血ホルモンであるエリスロポエチン(EPO)が産生されないことにより起こる貧血と定義されている.近位尿細管周囲間質に存在するEPO産生細胞は,腎血流量の低下や尿細管間質の障害に伴いEPO産生機能が低下する.よって慢性腎臓病(CKD)患者は,貧血を改善させる十分なEPOを産生することができず貧血は進行する.
・CKD患者のなかにはEPOの相対的な欠乏以外にも慢性炎症・低栄養・尿毒症環境などの臨床的背景により赤血球造血の抑制,赤血球寿命の短縮,鉄利用障害によって貧血状態になっている患者も存在するため注意が必要である.
・日本透析医学会が発表した2015年版「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」1)は,目標Hb値を保存期CKD患者や腹膜透析患者で11~13g/dL,血液透析患者において10~12g/dLと設定している.
・現在,ESA,HIF-PH阻害薬,鉄剤などを中心に用いてCKD患者の貧血治療が行われている.
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