Japanese
English
投稿 症例
時相の違いによって転帰が異なった家族内発症の日本紅斑熱の3例
Three cases of Japan spotted fever in the family with different outcomes due to different time phases
梅原 皆斗
1
,
砂原 康人
1
,
原 将之
1
,
門 浩志
1
,
日置 麻里
2
U. Minato
1
,
S. Yasuto
1
,
H. Masayuki
1
,
K. Hiroshi
1
,
H. Mari
2
1近江八幡市立総合医療センター腎臓内科
2近江八幡市立総合医療センター皮膚科
pp.1218-1223
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_1218
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に 日本紅斑熱は紅斑熱群リケッチア症の一種であり,1984年に馬原らにより初めて報告された1).Rickettsia japonicaを起因病原体としたダニ媒介感染症であり,全数報告対象の4類感染症である.2~7日間の潜伏期を経て発症し,血行性またはリンパ行性に全身に播種する.1999年に感染症法の4類感染症に指定されて以降,2006年までは全国で年間30~60例で推移していたが,その後増加傾向となり,2019年では全国で318例の報告があった2).全国的に分布しているツツガムシ病と違い,日本紅斑熱は西日本を中心に分布しているが,滋賀県ではこれまで日本紅斑熱の発生報告はなかった(図1a,b).感染地域は徐々に拡大してきているものの,いまだ好発地以外では医療者の認識が低いのが現状である.
われわれは2019年に,滋賀県初報告となる家族内発症を認めた3例の日本紅斑熱を経験した.これらは発症から治療介入までの期間が異なり,それによって転帰が異なったと考えられた.リケッチア感染症では早期治療が重要とされているが,実臨床においてもその事実を再認識できた貴重な症例群と考え,報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2023