特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第8章:神 経
てんかんは小児の病気とは限らず,むしろ高齢発症が多い
小玉 聡
1
1東京大学医学部附属病院脳神経内科
キーワード:
認知症
,
複雑部分発作
,
二次性全般化
,
一過性てんかん性健忘
Keyword:
認知症
,
複雑部分発作
,
二次性全般化
,
一過性てんかん性健忘
pp.620-623
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_620
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
てんかんの発症年齢にまつわる誤解
「てんかん」とは,大脳神経細胞の異常な電気的興奮によって起きる症状(=てんかん発作)を繰り返し生じる慢性疾患の総称である.てんかんの発症率は小児期で高く,成人期ではいったん低下するため,「子どもの病気」と思われがちである.しかし,中年期以降てんかんの発症率は年齢とともに上昇するため,グラフにするとU字状のカーブを描くことになる.多くの疫学研究では,てんかんの発症率は65歳以上の高齢者で最も高くなることが示されている1).てんかんは,実は「高齢者の病気」ということもできるのである.てんかんは脳に生じるあらゆる疾患を背景として起こるため,脳卒中や神経変性疾患の有病率が高い高齢者でてんかんが増えるのは,実は自然なことといえる.また,今後の高齢化社会では,その患者数はさらに増加すると予想される.
© Nankodo Co., Ltd., 2021