特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第2章:循環器
長期に心房細動に罹患した患者では僧帽弁閉鎖不全症や三尖弁閉鎖不全症にも注意が必要である
中川 頌子
1
,
泉 知里
1
1国立循環器病研究センター心臓血管内科部門心不全科
キーワード:
心房細動
,
僧帽弁閉鎖不全症
,
三尖弁閉鎖不全症
Keyword:
心房細動
,
僧帽弁閉鎖不全症
,
三尖弁閉鎖不全症
pp.421-424
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_421
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心房細動になると何がわるいのか
心房細動は日常診療で遭遇する最も一般的な不整脈である.その有病率は年齢が進むにつれて上昇し,また年々増加傾向である.心房細動と脳塞栓症の関連はよく知られているが,実は心房細動患者の死因としては脳梗塞よりも心不全死が多いと報告されている1).心房細動から心不全を発症する機序は複数あるが,心房細動を発症した患者では心房リモデリングが進行し,心房収縮機能低下・心房拡大をきたす.両心房のうち,主に左房拡大をきたすと僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation:MR)を,主に右房拡大をきたすと三尖弁閉鎖不全症(tricuspid regurgitation:TR)を発症し,心不全増悪につながる.
© Nankodo Co., Ltd., 2021