特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第2章:循環器
現在の冠動脈血行再建術は,冠動脈の「狭窄度」だけで決めてはいけない
桐山 皓行
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1東京大学医学部附属病院循環器内科
キーワード:
冠動脈血行再建術
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FFR
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iFR
Keyword:
冠動脈血行再建術
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FFR
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iFR
pp.417-420
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_417
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1977年に初めてバルーンによる冠動脈形成術が施行されて以降,カテーテルによる冠動脈血行再建術,いわゆるPCI(percutaneous coronary intervention)は爆発的な普及をみせている.とくに急性冠症候群に対するPCIの有効性は現在確立されたものになり,本邦・欧米のガイドラインでも急性冠症候群に対するPCIは強く勧められている.一方で,慢性冠動脈疾患に対するPCIの考え方は昨今変わりつつある.機能的心筋虚血の証明をしたうえでのPCIが予後を改善させる,というエビデンスが昨今構築されたことにより,各国のガイドラインでも血行再建術前に機能的心筋虚血を証明することに重点が置かれるようになった.2018年の本邦の診療報酬改定ではPCIを行う際に解剖学的評価のみならず,機能的虚血評価の証明が必要であることが明記された.本稿では,機能的虚血評価をどのように証明するか,その結果からどのように治療方針を決定するかを中心に考察する.
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