特集 2020年代の内科診療―26テーマの近未来予想
消化器内科
[上部消化管疾患]
胃食道逆流症(GERD)とフレイル
-超高齢社会で求められる腹部症状マネジメント
浅岡 大介
1
1順天堂東京江東高齢者医療センター消化器内科
キーワード:
H. pylori感染
,
胃酸分泌能
,
食道裂孔ヘルニア
,
骨粗鬆症
,
フレイル
Keyword:
H. pylori感染
,
胃酸分泌能
,
食道裂孔ヘルニア
,
骨粗鬆症
,
フレイル
pp.1151-1154
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_1151
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Summary
▪胃食道逆流症(GERD)の成因を考えるうえで,胃酸分泌能と胃粘膜萎縮に影響を及ぼすH. pylori感染は重要な因子であるが,食生活の欧米化,H. pylori感染率の低下,日本人の胃酸分泌能の変化により今後GERD患者は増加が見込まれる.
▪健康長寿・介護予防を阻害する3大因子の一つであるロコモティブシンドロームの代表疾患である骨粗鬆症は,骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折による脊椎後弯を引き起こし,それに伴い食道裂孔ヘルニアを合併する割合が高い.食道裂孔ヘルニアはGERDの危険因子でもあり,今後高齢化に伴い,大きな食道裂孔ヘルニアを有した重症GERD患者も増加する可能性がある.
▪健康寿命延伸のためフレイル対策は重要であるが,高齢者では上・下腹部症状から低栄養をきたす可能性があり,超高齢社会の本邦では今後フレイル患者が増加する可能性がある.フレイルと腹部症状の関連の報告もあり,健康長寿対策としての腹部症状マネジメントが今後重要となる.
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