今月の主題 消化器薬の使い方 2001
消化器治療薬を使う!
胃・食道逆流症(GERD)
小山 茂樹
1
1滋賀医科大学第2内科
pp.1781-1784
発行日 2000年11月10日
Published Date 2000/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907819
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
GERDの概念と病態(図1)
胃・食道逆流症(GERD:gastroesophagealreflux disease)は,胃酸を中心とする胃内容物の食道内逆流により生じる症状ないし(and/or)下部食道粘膜傷害を包括した疾患概念である.
GERDはendoscopy positive reflux disease(EPRD:内視鏡陽性逆流症)とendoscopy negative reflux disease(ENRD:内視鏡陰性逆流症)に亜分類される.EPRDは以前の「逆流性食道炎」と同意語であり,内視鏡検査にて下部食道粘膜に発赤・びらん・潰瘍の「粘膜傷害」のある疾患である(内視鏡的重症度分類であるLos Angeles分類1)は「mucosal break」と表現し,「粘膜傷害」と訳す).ENRDは内視鏡検査で明らかな「粘膜傷害」を認めない胃食道逆流症をいう.NUD(non-ulcer dyspepsia,現在ではfunctional dyspepsiaといわれている)は,内視鏡検査により慢性胃炎以外の所見を認めない疾患概念で,その症状より4亜型に分類(心窩部痛:ulcer-like,胃部膨満感:dysmotility-like,胸やけ:refiux-like,その他:nonspecific)されている2)が,reflux-like NUDはENRDと同一である.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.