特集 非がん疾患に対する緩和ケア
Overview
世界の緩和ケアの動向
-がん,非がん,そして人権としての緩和ケアについて
荻野 美恵子
1
1国際医療福祉大学医学教育統括センター
キーワード:
非がんの緩和ケア
,
人権としての緩和ケア
,
プラハ憲章
,
診療報酬
Keyword:
非がんの緩和ケア
,
人権としての緩和ケア
,
プラハ憲章
,
診療報酬
pp.169-174
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika127_169
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Summary
▪緩和ケアはそもそもがんも非がんもなく,すべての死にゆく人を対象としていた.
▪緩和医学は1980年頃よりがん(とくにがん性疼痛への対処)を中心に発展していった.
▪本邦においても診療報酬上の対応もあり,がん(およびAIDS)のみを対象としてきた.
▪2002年の世界保健機関(WHO)の定義,2013年のプラハ憲章にあるように,すべての疾患において緩和ケアを受けることは人権であり,国は保証すべく施策をする義務を負う.
▪とくに世界のなかで最も高齢化のスピードが速い本邦において非がん疾患の緩和ケアは重要な意味をもつ.
▪早急に医療界,国をあげて非がん疾患の緩和ケアに対応する必要がある.学部教育,医療者研修などの教育,各専門領域や緩和医療分野への働きかけなどの意識改革,プライマリケア・在宅医療への浸透の仕組みなど,システムや診療報酬上の扱いなどの施策対応が求められる.
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