特集 病院管理者としての女性
世界と日本の女医の動向
酒井 シヅ
1
1順天堂大学医学部医史学
pp.432-436
発行日 1996年5月1日
Published Date 1996/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901795
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はじめに
女性の社会進出は目覚しくなったといわれて久しいが,日本では女子の医学部受験生の増加傾向は1980年代からみられる.とくに今年は女子の就職難が影響したのであろうか,医学部の女子受験生の数が多くなった印象を受けた.女子の高学歴化と,男性が主体を占めていた専門分野への女子の進出は医学部の現象だけでなく,一般社会の現象として現れている.例えば,女性の地位指標を調査した統計では,高学歴化が昭和50年(1975)を100とすると,平成2年(1990)には194.5とほぼ倍近くになり,その数は年を追うほど多くなっている.医師など女性の進出が少なかった専門領域への女性の進出も同じように,指数は平成3年(1991)に198.7(昭和50年が100)となって,これらの分野に女性が確実に進出している1).
ところで世界各国において,女医の全医師に占める割合は日本と同じであろうか.国によってかなり違う(表).日本は低い.しかし,いわゆる西欧先進諸国では1950年代になって女医の数が増加した.その頃から社会的影響が問題視された2).
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