特集 心血管病の治療薬・予防薬の進歩:最新薬物治療のエッセンス
注目薬の使いかた PCSK9阻害薬による高コレステロール血症治療
岡崎 啓明
1
1自治医科大学 医学部内科学講座内分泌代謝学部門
キーワード:
LDL Cholesterol
,
高コレステロール血症
,
治療成績
,
医薬品適正使用
,
Alirocumab
,
Evolocumab
,
PCSK9 Inhibitors
Keyword:
Treatment Outcome
,
PCSK9 Inhibitors
,
Cholesterol, LDL
,
Hypercholesterolemia
,
Evolocumab
,
Alirocumab
pp.1341-1345
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00697.2023002395
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<Headline>1 高LDL-コレステロール(LDL-C)血症は,介入可能な動脈硬化のリスク因子である.コレステロールの年余に渡る蓄積が動脈硬化リスクとなること(cholesterol x years risk)が,遺伝疫学的研究から明らかとなってきた.2 cholesterol x years riskの除去のためには,心血管リスクの高い患者,遺伝子異常による高LDL-C血症[家族性高コレステロール血症(FH)]が疑われる患者ほど,LDL-Cを長期にわたりしっかりと下げる"the lower,the earlier,the better"がコンセンサスとなってきている.3 高LDL-C血症治療薬は,どの種類の治療薬でも,同程度LDL-Cが下がれば同程度動脈硬化が抑制されるため,まずはエビデンスの多い薬,コストの安い薬,を優先して使う.内服(スタチン,エゼチミブ,レジン)によってもLDL-Cが管理目標値に達しない場合,PCSK9阻害薬の適応となる.4 PCSK9阻害薬は,LDL受容体の分解を促進する蛋白PCSK9に対する抗体医薬(皮下注)である.LDL受容体の発現増強を介して,強力なLDL低下作用(約60%減)を有し,心血管イベント抑制のエビデンスが示されている.5 PCSK9阻害薬は,心血管イベントのハイリスク病態(主に冠動脈疾患二次予防),FH,およびスタチン不耐が主な適応となる.
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