特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第9章 精神神経科
認知症
上田 諭
1
1東京医療学院大学保健医療学部
pp.1992-1994
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1992
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認知症とは
まず知っておいてほしいことは,認知症は治らない進行性の疾病ということである.巷には「認知症を治す」という類いの書物が多く出ているが,それはおおかた詭弁である.記憶障害や遂行機能障害など中核的な症状(「中核症状」という)が治らないからこそ認知症なのである.ときどき,内科の先生から,「いくら言っても薬を飲み忘れる.認知症のようなのでご加療を」という依頼を受ける.しかし,これは医学常識を無視した相談である.どんな名医でも,認知症なら記憶障害をよくすることはできない.それができたら,認知症の診断は間違っている.飲み忘れるなら,内科の先生ご自身で,飲み方や回数の工夫,服薬を見守る人の準備などをしてもらうほかはない.
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