Book Review
不整脈デバイス治療バイブル―適応・治療・管理まですべてマスター
安部 治彦
1
1産業医科大学不整脈先端治療学 教授
pp.1836-1836
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1836
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- 文献概要
不整脈疾患の治療は,この30年で薬物治療から非薬物治療へと大きく様変わりした.この大変化をもたらした要因は,非薬物治療の飛躍的な進歩であり,それはまさしくカテーテルアブレーションとデバイス治療の進歩による恩恵の賜物で,昔と比べ隔世の感がある.徐脈性不整脈にはペースメーカ,頻脈性不整脈には植込み型除細動器(ICD)だけであったが,現在では心不全に対する心臓再同期療法(CRT),原因不明の失神や潜因性脳梗塞の心房細動検出のための皮下植込み型心電計(ILR)にいたるまで循環器疾患領域での診断・治療においてデバイスの果たす役割はきわめて大きくなっている.今後,新たに心房細動による脳塞栓予防のための左心耳閉鎖デバイスも医療現場に登場する.昔は,これらデバイス患者からの情報は医療機関での対面診療時にしか得られなかったが,遠隔モニタリングの急速な発展を受け,ほぼリアルタイムに院外の患者の異常が検出され,医療機関にその情報が届けられるようになった.その結果,早期発見と早期治療も可能になっている.新たな植込みデバイスが続々と登場することは,恩恵を受ける患者にとっては福音である.その一方で,不整脈専門医ですらこれらすべてのデバイスを完全に理解し,臨床で使いこなすことは徐々に困難となりつつあることも事実である.
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