特集 もっとうまくいく! 病診連携の「伝え方」―わかりやすく伝えるための診療情報提供書作成のコツ
第Ⅱ章 <診療科別>コンサルトのポイント
B.循環器科へコンサルト
3.慢性心不全(治療)
末永 祐哉
1,2
1順天堂大学循環器内科
2順天堂大学大学院医学部研究科心血管睡眠呼吸医学講座
pp.511-513
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_511
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慢性心不全は,いわゆる見た目は「代償されている」心不全ということになるが,その代償は非常にきわどいバランスの上に成り立っており,ちょっとしたことで容易に非代償期に入る.そのためにもある程度代償されている時期にどのような治療を行うかが大切となってくるが,本症例のように緩徐に心不全症状が進行してきており,かつ初めての心不全症状の出現である場合,心エコーを含めた検査および薬物調整が必要となるケースが多く,循環器専門医へ紹介することが望ましいと考えられる.症状が日に日に進行する場合は1~2日以内に紹介,利尿薬で症状が落ち着いている場合でも1週間以内に一度循環器専門医を受診することが望ましいと考えられる.また,本症例のような陳旧性心筋梗塞の症例は過去に心不全の病歴がなくても心不全発症のハイリスクと考えられるので,定期のフォローアップにおいても一般的な心不全症状がないかを定期的にスクリーニングして,疑わしい場合は脳性ナトリウム利尿ペプチド(B-type natriuretic peptide:BNP)or NT-proBNPを測定することが望ましい.BNP<35pg/mL,NT-proBNP<125pg/mLでは心不全はそれほど疑わしくないが,そうでない場合は症状・身体所見との総合判断となる.
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