Japanese
English
特集 循環器薬評価に関する大規模Prospective Study
慢性心不全治療薬
Prospective Mass Study for the Treatments of Chronic Heart Failure
木全 心一
1
Shin-ichi Kimata
1
1東京女子医科大学附属青山病院
1Tokyo Women's Medical College Aoyama Hospital
pp.1049-1057
発行日 1993年11月15日
Published Date 1993/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900760
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
慢性心不全の治療は二つの側面から評価される.一つは患者の自覚症を緩和し,心不全の理学所見を改善し,運動耐容能を延ばし,生活の質を改善し,心機能を改善することである.もう一つは,患者の予後を改善し,心事故を減らすことである.日本で新薬の申請に用意される治験資料は,自覚症の緩和と心不全の理学所見の改善を踏まえた医師の印象が主体である.最近は心機能の改善の評価を加え,より客観的に評価するようになった.これは,患者の治療より得た改善感をとらえており,新薬の申請には有用なデータだと考えられる.しかし国際学会などで,他国の研究者を納得させるにしては,客観性に乏しく説得力に欠ける.最近日本でも良い新薬が開発され,諸外国で使われるようになった.しかし,日本の治験の結果は諸外国の有効性の判定には用いられず,治療の有効性を証明した国際誌に載る論文は,外国でなされたものばかりである.
欧米の医師が納得するデータは,運動耐容時間の延長とか,左室駆出率の改善といった客観的データである.きっちりとしたプロトコールに則ってなされ,評価が数字で示される.しかし最近は,心不全の病態を一時的に良くしただけでは,慢性心不全治療薬としては生き残れず,患者の予後を改善し,心事故を減らすことを証明しなくてはならなくなって来ている.これを行うのには,通常の治験よりより多くの費用と時間が必要になる.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.