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症 例
症例1:75歳,男性.
主 訴:黒色便,起立困難.
現病歴:黒色便,起立困難を主訴に当院へ救急搬送となる.
既往歴:前立腺肥大症,2型糖尿病,腰痛症にてNSAIDsを内服していた.
現 症:血圧85/56mmHg,HR 104回/分・整,SpO2 100%(R/A),体温37.1°C.
血液検査所見:WBC 11,159/μL,RBC 229/μL,Hb 7.1g/dL,Ht 20.5%,MCV 89.5%,Cr 1.21mg/dL,BUN 44.8mg/dL,TP 5.4g/dL,Alb 2.8g/dL.
入院後経過:濃厚赤血球(red cell concentration:RCC)4単位輸血後,Hb 8.4g/dLへと改善し,翌日上部内視鏡を施行した.十二指腸球部前壁に凝血塊を認め,絶食およびプロトンポンプ阻害薬投与にて保存的治療を開始した.同日,腹部造影CT検査を施行し,十二指腸球部に浮腫を認めるも血管外漏出は認めなかった.第7病日,再び黒色便とふらつきを認め,検血でRBC 180/μL,Hb 5.7g/dLと貧血の進行を認めた.RCC 6単位と新鮮凍結血漿4単位を輸血し,上部内視鏡を再施行したところ,十二指腸球部前壁に湧出性出血を認めた(図1).内視鏡的止血も考慮したが,十分な視野の確保が困難であったため,血管内治療にて塞栓術を行う方針とした.腹腔動脈造影で右胃動脈の末梢に血管外漏出を認め(図2),マイクロカテーテルを末梢まで進め造影し,血管外漏出を確認した(図3).右胃動脈の本幹をマイクロコイルにて塞栓した(図4).術後経過は良好で,その後再出血を認めることなく第16病日独歩退院した.
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