特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅵ章 高齢者の救急疾患
6.脳卒中
北川 一夫
1
Kazuo KITAGAWA
1
1東京女子医科大学神経内科教授
pp.798-804
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_798
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Summary
▪脳卒中は高齢者要介護原因疾患の上位を占める疾患であり,高齢者のQOLを保つうえで,発症予防,急性期治療,再発予防は重要な課題である.
▪脳梗塞超急性期の経静脈的血栓溶解療法の適用時間は4.5時間に延長され,また発症6時間以内の主幹動脈閉塞に伴う脳梗塞では局所血栓回収療法のエビデンスが確立された.
▪心房細動を基盤とした心原性脳塞栓症の再発予防にはwarfarinとともに直接経口抗凝固薬(DOAC)が頻用されるようになったが,高齢者では腎機能低下症例が多く直接経口抗凝固薬の使用に当たっては用量に留意する.
▪非心原性脳梗塞急性期には,抗血小板薬2剤併用による再発予防が,慢性期には脳出血予防を念頭に置き抗血小板薬単剤が勧められる.
▪脳卒中再発予防には内科的な危険因子管理,なかでも高血圧管理が最も重要であり,少なくとも140/90mmHg未満に管理するようにし,ラクナ梗塞,脳出血,抗血栓薬内服中では忍容性があれば130/80mmHg未満に管理することが勧められる.
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