特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅵ章 高齢者の救急疾患
5.高齢者の消化管出血
新倉 量太
1
,
藤城 光弘
2
,
小池 和彦
1
Ryota NIIKURA
1
,
Mitsuhiro FUJISHIRO
2
,
Kazuhiko KOIKE
1
1東京大学大学院医学系研究科消化器内科
2東京大学医学部附属病院光学診療部
pp.791-796
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_791
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Summary
▪消化管出血は,上部消化管出血(食道,胃,十二指腸),下部消化管出血(結腸,直腸),小腸出血(空腸,回腸)からなり,高齢者の占める割合が高い.
▪低用量aspirin・非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)に関連する上部消化管出血に対しては,プロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用投与により出血リスクを軽減することが重要である.
▪低用量aspirin・NSAIDsに関連する下部消化管出血に対しては,粘膜治癒を促進する薬剤がなく,出血のリスクを軽減するには,休薬や代替治療が必要になる.一方で小腸出血に対しては粘膜障害を改善できる薬剤が知られており,これらの薬剤の併用投与により小腸出血のリスクが軽減できる可能性がある.
▪上部消化管出血,下部消化管出血ともに,高齢者は非高齢者と比べて院内死亡率が高い.
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