Book Review
手稲渓仁会病院消化器病センター胆膵Clinico-Pathological Conference―厳選36例から学ぶ
山雄 健次
1
1成田記念病院顧問
pp.327-327
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_327
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- 文献概要
本書の編者である真口先生に書評を依頼され大変誇りに思う.真口先生とは30年以上の長い付き合いであり,ともに「1例1例を大切にすること」と「画像と病理の厳密な対比」を臨床の基本姿勢として診療に携わってきた.その姿勢が貫かれた本書が上梓されたことは筆者にとって大変嬉しい.
さて,EBM(evidence based medicine)の重要性が叫ばれて久しい.EBMはある診療行為の選択にあたって,その根拠を過去の多くの症例より得られた医学的知見(evidence)に求めるものである.evidenceを元に多くの疾患においてガイドラインが示され,最近はガイドラインがあたかも教科書であるかのように扱われることがある.しかし,実臨床においては典型例ばかりでなく,いわゆる「非典型例」に出くわすことも多く,そのたびに判断に迷う.とくに膵・胆道領域では,肉眼や内視鏡で観察することのできない病変に対して,さまざまな画像所見を駆使して診断を下す必要があり,典型的所見と非典型的所見のモザイクのなかから,それぞれの所見の意味するところを把握し診断につなげていかなければならない.そのためのトレーニングとしては,多くの症例を経験することが最も重要であり,それぞれの症例ごとに画像と病理所見の厳密な対比を繰り返すことが不可欠である.
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