連載 アーキテクチャー×マネジメント・14
医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
石橋 達勇
1
1北海学園大学工学部建築学科
pp.88-93
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210031
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■医療機能の概要
手稲渓仁会病院は,札幌市手稲区にある595床を有する急性期病院である(図1).医師243人,看護職837人を含めて1,743人のスタッフにより運営されている(2014年現在).経営主体の医療法人渓仁会が,1987年にグループ基幹病院として開院して以降,現在に至るまでに高度先進医療をも提供する地域医療支援病院として,各種医療サービスの提供を行っている.医療機能上の特徴として,救命救急センターを有し災害拠点病院であること,地域周産期センターを有していること,地域がん診療連携拠点病院であること,などが挙げられる.
同病院の診療圏は,主に札幌市手稲区・北区・西区,石狩市,後志の912,179人である.外来患者の73.4%が札幌市,うち49.0%は病院が位置している手稲区から来院している.次いで17.1%が石狩市・小樽市,8.6%がその他北海道内,0.9%が北海道外からの来院となっている.しかし,入院患者の住所地は,61.1%が札幌市,18.8%が石狩市・小樽市からであるが,18.8%がその他北海道内,1.3%が北海道外となっている.これは,同病院が大学病院本院群に次ぐDPCⅡ群病院の指定を受けて先進的な急性期医療を提供していることで,前述の診療圏以遠の北海道内の小病院や診療所の紹介を経て広く来院しているため,とのことであった.日常の地域医療を支えつつ,北海道内の高度医療の一端をも担っていることから,「縦」にも「横」にも広い医療を提供している民間病院であるといえる.
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