Book Review
肝疾患治療マニュアル―ガイドラインを理解し,応用する
滝川 一
1
1帝京大学医学部内科
pp.1149-1149
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika120_1149
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『肝疾患治療マニュアル』は肝疾患に関する各種ガイドラインを踏まえたうえで,その一歩先をスタンスとしたマニュアルであり,編者の大阪大学の竹原氏と埼玉医科大学の持田氏により画期的な取り組みがなされている.構成としては,Ⅰ章では各疾患に対する治療,Ⅱ章では治療薬ごとにエキスパートがどのような使い方をするか,Ⅲ章は治療手技ごとにエキスパートのテクニックを,Ⅳ章では栄養療法と運動療法に特化して解説している.
項目のなかでも,ウイルス肝炎および抗ウイルス薬の執筆を担当された先生方のご苦労が窺われる.筆者自身も日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン委員会の委員長であるため,ウイルス肝炎治療の執筆を頼まれることがあるが,いつも校正の時点で執筆時と内容が異なっていることが多く苦労している.B型肝炎についてはテノホビル・アラフェナミド(TAF,ベムリディ)が取り上げられているが,この薬への変更について,最新の「B型肝炎治療ガイドライン第3版」では言及している.C型肝炎については,プロテアーゼ阻害薬のグレカプレビルと併用する現在承認申請中のピブレンタスビルもNS5A阻害薬の表に記載されている.これらが使用可能となればpan-genotypeの直接作動型抗ウイルス薬(direct-acting antivirals:DAAs)として8週と投与期間が短縮され,2型C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)に対してもリバビリンフリーの治療が可能になり,期待がもたれる.このようにウイルス肝炎治療については,本マニュアルに加えて,日本肝臓学会のHPを参照して最新の知識を得てほしい.
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