1枚のシェーマ
Slit orifice式大動脈弁尖延長術
平松 祐司
1
1筑波大学心臓血管外科
pp.430
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu78_430
- 有料閲覧
- 文献概要
乳幼児期の大動脈弁逆流(AR)において,侵襲度の高い弁輪拡大術やRoss手術を回避すべく大動脈弁尖延長術を長年駆使してきたが,二尖弁であっても各弁尖を個別に延長して形成すると初期の弁尖接合が不完全で,わずかな残存逆流が弁尖に乱流ストレスを与えて長期耐用性を阻んだ.グルタルアルデヒド5分処理自己心膜片の中心においたslitに沿って山折りにすると,両弁尖の接合はおのずと完璧となる.最大限のslitをおいて心膜片をわずかにredundantとし,slit両サイドに耳を二つずつ計4つつくって大動脈内壁に吊り上げ気味にしっかり固定(固定のCV-6は大動脈外壁に抜く)することで,若干の大動脈弁狭窄(AS:流速の亢進)を許容しながらARゼロをめざすコンセプトである.
© Nankodo Co., Ltd., 2025