連載 外科医のためのビッグデータ利活用入門
第11回 自己対照研究デザイン
隈丸 拓
1
,
遠藤 英樹
2
,
山本 博之
3
H. Kumamaru
1
,
H. Endo
2
,
H. Yamamoto
3
1東京大学医療品質評価学講座
2慶應義塾大学医療政策・管理学講座/東京大学医療品質評価学講座
3東京大学医療品質評価学講座
キーワード:
自己対照ケースシリーズ
,
手術
,
症例クロスオーバー
Keyword:
自己対照ケースシリーズ
,
手術
,
症例クロスオーバー
pp.685-689
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu77_685
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観察研究のもっとも標準的なデザインであるコホート研究デザインでは,対象となる患者の曝露状況の情報を用いて曝露を受けた患者と非曝露の患者を一定の期間観察し,その期間に発生するイベントの頻度を2群間で比較することで,曝露とイベント発生リスクの関連を評価する.観察研究において,曝露患者と非曝露患者には背景の違いが存在し,特に患者の状態や病態に基づいて治療方法が選ばれる場合,交絡による強いバイアスが生じることが知られる(適応による交絡).このようなバイアスを低減するために,傾向スコアや回帰モデルによる調整などが実施され,曝露群と非曝露群の比較可能性を高めたうえで評価を行うことが,観察研究における統計解析の役割の一つである.
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