1枚のシェーマ
右房血管肉腫に対する右房全切除+右房再建術の1例
山中 一朗
1
1奈良県総合医療センター心臓血管センター
pp.198
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu75_198
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過去の苦い経験から徹底的に腫瘍組織を切除し,心膜パッチで心房再建して長期生存を得た1例である.症例は52歳,男性.腫瘍は上大静脈接合部に及んでおり,上大静脈を離断した.卵円窩を囲むようにドーナツ状に腫瘍が盛り上がっており,すべての右房・心房中隔を切除し,下大静脈から冠状静脈洞に接する組織も切除し,さらに大動脈弁,僧帽弁,三尖弁が線維性に連続する部位まで切除した.まず,ウシ心膜パッチを用いて心房中隔から心房上壁を作成した.さらに自己心膜で右房を形成し,上大静脈,下大静脈と吻合した.洞房結節,房室結節も切除したが自己脈はあった(図1).病理診断は血管肉腫であった.術後3ヵ月に肝臓転移を認め放射線治療を行って治癒して以来,3年経過したが,再発はない.
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