特集 がん薬物療法の看護 ~“意思決定につなぐ力”で実践!~
血液がんの薬物療法における意思決定を支える看護 ~移植非適応多発性骨髄腫 DLd療法を例に~
塚本 多恵子
1
Taeko TSUKAMOTO
1
1京都第二赤十字病院外来化学療法センター
pp.48-52
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango31_48
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疾患,治療,レジメンに関する基本知識
多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)は形質細胞の腫瘍性増殖と,Mタンパク増加により骨病変や腎機能障害,貧血,高カルシウム血症などをきたす疾患である.発症率は年々増加傾向にあり1),診断時の年齢中央値は60代後半と,高齢者に多い疾患である2).
MMは治癒を期待できる疾患ではないが,レナリドミドなどの免疫調整薬やプロテアソーム阻害薬,CD38などに対するモノクローナル抗体薬が導入され,予後は大幅に改善した.さらに,近年ではCAR-T療法(キメラ抗原受容体T細胞療法)や二重特異性抗体といった免疫療法も適応となり,ますます治療選択肢が広がってきている3).生存率は向上しているものの,治療に伴う症状の負担と有害事象は,患者の健康関連生活の質(health-related quality of life:HRQOL)に大きな影響を与える可能性があるとされている4).また,再発・寛解を繰り返しながら徐々に病状が進行する疾患の特徴から,患者は長期間にわたり治療継続,体調の経過観察を行うことを求められる.
治療方針は疾患リスク,治療歴,全身状態,併存疾患,年齢,周囲の状況(サポート体制など),患者の治療継続による経済的,精神的,身体的な負担などを総合的に考慮して決定される5).したがって,薬物療法を受けるMM患者の意思決定支援において,看護師は患者の病状理解の程度や本人の負担感,周囲のサポート状況などもていねいに聞き取りをしたうえで継続的に意思決定支援にあたる必要がある.

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