特集 退院後を見据えたがん患者のスキンケア
総論
がん患者の皮膚の特徴
安部 正敏
1
Masatoshi ABE
1
1医療法人社団廣仁会札幌皮膚科クリニック/日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
pp.560-564
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_560
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
皮膚は皮下脂肪組織を加えると体重の約15%に及ぶ人体最大の臓器である.その働きは多岐にわたるが,もっとも重要な役割はなんといってもバリア機能である.しかし,他方で皮膚が内臓疾患のサインを示すことは存外知られていない.皮膚とて人体の一臓器であり,多臓器とクロストークすることで生体のホメオスタシスを保つことは明らかである.ゆえに,健常者では存在しない悪性腫瘍が生じた場合,皮膚に変化をきたすことは当然である.さらに,がん患者においては分子標的薬治療や化学療法,放射線療法が行われるが,当然これらは皮膚のみならず正常構造に影響を及ぼす.
がん患者における皮膚症状に対する各種治療や終末期病態における変化は他項目に詳しいので,本稿においては,がん患者の皮膚変化の理解に必須である健常皮膚の構造生理1,2)を概説したのち,がん細胞が皮膚に及ぼす作用について略説する.

© Nankodo Co., Ltd., 2025

