特集 小児がん診療の新展開
総論
小児がんの特徴
富澤 大輔
1
Daisuke Tomizawa
1
1国立成育医療研究センター小児がんセンター
pp.1362-1365
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002743
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はじめに
小児がんとは,小児期に発生する悪性腫瘍の総称であり,単一の疾患ではない。言い換えれば,胃癌・大腸癌・肺癌など成人期に発生する悪性腫瘍をまとめて「成人がん」とよぶようなものである。実際,小児がんには白血病などの造血器腫瘍,脳腫瘍,神経芽腫などの固形腫瘍まで多種多様ながん種が含まれ,それぞれ診断法や治療法が異なる。さらに,「小児期」をどのように定義するかという問題もある。一般的には0〜14歳を指し,15〜39歳は思春期・若年成人(adolescents and young adults:AYA)世代と定義されることが多い。AYA世代では,小児に多い腫瘍(急性リンパ性白血病や横紋筋肉腫など)と,成人に多い腫瘍(大腸癌など)が混在する。前者については,患者が15歳以上であっても(少なくとも20歳までは)広義の小児がんに含めて扱われる場合が少なくない。いずれにしても,がんは日本人の死因第1位を占める重大な疾患である。小児がんは5年生存率が約80%に達するまでに改善しているが,それでも依然として小児期の病死原因の第1位である。また,治療を乗り越えた経験者のなかには晩期合併症に苦しむ人も少なくない。

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