特集 クリニックで診る小児アトピー性皮膚炎のプライマリ・ケア
1.小児の皮膚の特徴
-―成人との違い
高橋 健造
1
1琉球大学医学部皮膚科
キーワード:
バリア
,
保湿機能
,
経皮感作
,
エクリン汗腺
Keyword:
バリア
,
保湿機能
,
経皮感作
,
エクリン汗腺
pp.91-95
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000753
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誕生の瞬間に新生児の皮膚は,乾燥に耐えるバリアや保湿機能を急速に獲得する.角層には無数の常在菌が棲みつくことで,体の部位に合わせたバイオトームを構築し,皮膚での自然免疫や獲得免疫を確立する.皮膚の構造自体は新生児や小児の皮膚といえども基本的に成人に近いが,物理的バリアや免疫バリアは未熟であるため,食物などの環境抗原が経皮感作されやすい.Th1型の接触皮膚炎が持続することで,Th2型の全身性の食物アレルギーを惹起し,Th2サイトカインはフィラグリンの発現を抑制し,さらなるバリア機能の悪化に陥る.アトピー性皮膚炎の乾燥肌を清潔に保ち保湿に努め,経皮感作の機会を減らすことは,食物アレルギーの発症を抑制する可能性をもつ.
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