連載 リレーエッセイ●がん看護CNS奮闘中 ~がんとともに社会で生きる患者を支えるための調整~ 【1】
第1回 大学病院での調整①
患者を支える地域連携ための地盤づくり
渡邉 直美
1
1東京女子医科大学病院 がん緩和ケア室・看護部/がん看護専門看護師
pp.80-81
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_80
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自己紹介
私は,2009年にがん看護専門看護師(OCNS)の認定を受けました.病棟での忙しさに翻弄されながらも,終わりが見えない薬物療法とそれが終わることの意味との間で苦悩する患者さん,妻そして母として葛藤する患者さん,退院を喜ぶ一方で外来での孤独を嘆く患者さんの声に,どう応えたらよいのかわからない自分がいました.夜な夜な読んだ看護系の雑誌では,OCNSに関する特集が組まれることが多く,がん看護への関心が高まりました.そして,看護師経験9年目のときに,母ががんの診断を受け,恩師の言葉も後押しとなり,大学院の高度実践看護師教育課程で学ぶ機会を得ました.
大学院修了後は,再び大学病院へ再就職しました.家で母を看取り,在宅看護の力と有難さを目のあたりにしましたが,“外来は孤独”という患者さんの声を聞いたこと,そして,母のがんと私自身の家族という体験を経て,治療期を支える病院で看護をやり直す決断に至りました.配属は,外来看護について学ぶために外来を希望し,週1回2時間の緩和ケアチームでの活動を許されました.当時,院内には数名の専門看護師(CNS)しかおりませんでしたので,他領域のCNSとともに「CNSとは何者か」「OCNSはどのようなことを大切にしながら実践しているのか」を,地道な活動をとおして知ってもらうことから始めました.その後はがん相談支援センターの兼任,緩和ケアチームの専従,そして看護部教育に携わるようになりました.現在は,コロナ禍で整備が滞っていたがん相談支援センターの立て直しをしながら,看護部の倫理教育を担当し,今年新設された臨床倫理コンサルテーションチームで活動しています.
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