メンターシップ

はじめに

　がん医療は，時代の進展とともに医療技術が進化し，その専門性はますます高まっている．この進化の流れはさらなる専門化を促し，スペシャリストの育成は重要な課題として位置づけられている．スペシャリストを育成する看護教育は，画一的アプローチではなく個別に専門性を深めるプロセスが必要である．また常に新しい知識や技術を取り入れるだけでなく，自己の専門性を更新し続けることが重要である．

　しかし，スペシャリストとしての成長過程においては，自分自身の経験や知見だけでは限界があるため，他者からの助けを借り，キャリア支援を得ることが重要である．この成長のためのアプローチの1つが「メンターシップ」である．メンターシップは，経験豊富なメンター（mentor）が，新たな挑戦をしているメンティー（mentee）を指導し，支援するプロセスである．とくに，がん医療の現場で働く看護師や，専門看護師や認定看護師といったスペシャリストを目指す過程において，自分の人生で「よき先輩」「よき理解者」であるメンターに出会うことは，個人のキャリア開発を促進するために，不可欠な要素となる．