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なぜ“知識のつなぎ手”としての看護師が求められるのか
がん薬物療法の多様化がもたらす患者の混乱
近年,がん薬物療法の新たな作用機序をもつ薬剤の開発・承認が続いており,それに伴い治療に用いられるレジメン数が増加している.これにより,がん治療の選択肢は大きく広がり,患者の生存期間の延長やQOL(quality of life;生活の質)の高い生活が維持できる可能性が高まってきている.これらの進展は,がん患者にとっては非常に大きな意味をもつと考えられる.
一方で,がん治療の選択肢が増えたことにより,患者や家族が治療を「選択する」ことを求められる機会が確実に増えて1)おり,治療開始時期から終末期にいたるまで,「意思決定の連続である」2)ともいわれている.
がん患者とその家族は,治療や副作用に関する正確な情報を必要としている3)一方で,患者自身が治療に伴う困難な状況に立ち向かうには,適切な情報提供だけでなく,精神的なサポートも必要になってくる4).
しかしながら,薬物療法が多様になってきている現在において,患者自身が自分にとって必要な薬物療法の情報を取捨選択することや,内容を理解することは以前にも増して困難になってきている.さらに,がん薬物療法が導入される時期のがん患者は,不安や緊張が強く,医療者から伝えられた情報が正確に覚えられない状態になることもしばしばみられる5).
医療従事者からは,薬剤情報を含む多くの情報が提供されるが,瀬沼ら6)が指摘するように「医師から得られる医学的な情報だけでは,意思決定を行う十分な情報があるとは限らない」という状況が起こっている.つまり,患者が納得して治療を選択するには,医師による医学的な情報提供のみでは不十分な情報である可能性がある.
こうした背景から,看護師は「知識のつなぎ手」としての役割が期待される.看護師は,患者にとって必要かつ適切な情報を把握し,提供する内容を吟味したうえで,わかりやすく情報を伝えることが求められる.その際には,患者の理解度や心理的な状況に配慮しながら,情報を注意深く選択し,段階的に伝えていくことが重要とされている7).

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