- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
チームサイエンスとは
チーム形成に関する書籍は多数存在するが,さまざまなリーダーの実体験に基づいたものが多く,客観的に分析されたものは多くない.科学的根拠に基づいた医療(evidence-based medicine:EBM)が一般的となった現代において,科学的根拠に基づかないチーム形成は不安が伴うものであった.チームが形成される過程において観察される事象や,必要なスキルについて科学的なアプローチで研究・実践する分野がチームサイエンスである.チームサイエンスを活用することで,異なる分野の専門家が協力して問題解決や研究を進めることが可能となり,とくに複雑で多面的な問題に対処する際に有効である.さまざまな分野で実践されているが,医学・医療の課題は複雑で困難なものが多く,チームサイエンスのアプローチは有用な分野の1つである.
チームをサイエンスとしてとらえるうえで,重要とされる要素が次の2つである.
(ⅰ)ダイバーシティとインクルーシブネス
異なる分野の専門家が集まることでそれぞれの視点から多様な考えが提出される.問題をより広い視野からとらえ,革新的な解決策を出すことが可能になると期待される.
(ⅱ)コラボレーションとコミュニケーション
効果的にチームを機能させるためにはチームメンバー間の協力とコミュニケーションが重要である.コミュニケーションにあたっては,別項(「コミュニケーションスキル」,p.391参照)で解説されるようなスキルが必要とされるため,身につけておくことが重要である.
チーム形成を概念的に提唱したモデルが,タックマンモデルである1).形成期,混乱期,統一期,機能期,散会期の5つの段階を経てチームが形成され,解散する.タックマンモデルについては次項で詳細に解説する.
© Nankodo Co., Ltd., 2024