シンポジウム 現代における精神医学研究の課題—東京都精神医学総合研究所開設記念シンポジウムから
ライフ・サイエンスをめぐって
塚田 裕三
1
1慶応義塾大学医学部生理学
pp.940-943
発行日 1974年11月15日
Published Date 1974/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202238
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きょうは,都立精神医学研究所の開所記念ということでご招待をうけ何かお話しをせよということですが,わたくしは,大脳生理学,あるいは神経化学といった領域の専攻であり精神医学の実践的な面では知識もありませんし,経験も持たないのであります。ただ精神医学というものも,"脳"にかかわりあいのある学問で,わたくしも大脳生理学,あるいは大脳生化学の領域で脳にかかわりあいをもつ研究をしているものとして,自分なりの立場で基礎的な問題を中心にして一言申し上げてみようと思います。今臨床にたずさわっておられる先生方から非常に深刻なお話がございましたけれども,わたくしどもと致しましてもそれが医学研究であるからにはそれなりの問題をかかえております。
最近よく"ライフ・サイエンス"という言葉が聞かれるようになってきましたが,いったいライフ・サイエンスというのはなにか,ということになりますと人によって定義は必ずしも一致しているわけではありません。たとえばいまさらライフ・サイエンス(生命科学)という言葉をもちださなくても,いままででも生物学とか医学とか,あるいは生物科学などの言葉があって,いったいそれとどこが違うのかというような議論もあります。
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