連載 ケアって何だろう・9
サイエンスとケア
広井 良典
1
1千葉大学
pp.874-880
発行日 1997年9月1日
Published Date 1997/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905430
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これまで本連載では,ケアと脳,ケアと性差といった,「ケアする動物としての人間」という観点からの議論から出発し,ターミナルケアをめぐる諸問題,それとの関係で浮かびあがる「深層の時間」という視点,「ケアの市場化」等々といったさまざまな論点について考えてきた。しかし,「ケア」ということの意味を掘り下げていくにあたって,ある意味でもっとも重要となる論点がなお残されている.それが今回取りあげる「サイエンスとケア」というテーマであり,科学史・科学哲学という,“科学とはいったい何か”を考える学問分野が本来の専攻である筆者などにとっては,とりわけ大事なテーマとなっている.本連載も大づめを迎えてきたので,ここでこれからの大まかな流れをあらかじめ述べると,今回から次回にかけてこの「サイエンスとケア」および「“ケアの科学”の可能性」について考え,次々回にはその延長線上で「高齢化社会とケア」について論じ,最終回では「ケアと時間」の問題にふたたび立ちもどり全体のまとめを行なう予定である.
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