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チーム医療とは
現代の医療現場において「チーム医療」という言葉はごくあたり前のように使用され,また実践されている.医療が複雑化・高度化する中で,多職種がそれぞれの専門性を活かして医療を提供することは必要不可欠であり,とくにがん医療においては比較的早期からチーム医療が行われてきた.厚生労働省が2010年にとりまとめた「チーム医療の推進について(チーム医療の推進に関する検討会 報告書)」には,チーム医療について「医療に従事する多種多様な医療スタッフが,おのおのの高い専門性を前提に,目的と情報を共有し,業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い,患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と記されている1).
それでは,専門性の高い多職種が集まって医療を提供すればそれはチーム医療と呼べるのだろうか? 答えは否である.チームとは,ある共通の使命(ミッション)をもち,望ましい将来像・実現したい世界観(ビジョン)を共有した集団を意味し,単純な集合を意味するグループとは異なる.ここで,患者中心のチーム医療とは,患者自身もチームの一員と考え,医療にかかわるすべての職種がそれぞれの専門性を発揮することで,患者の満足度をより高めることを目指した医療のことを指す.より質の高い,科学的根拠に基づくチーム医療を実践するためには,チームサイエンスの概念を理解し,チーム医療の実践に必要なスキルセットを身につける必要があると考えられる.
本特集では,がんチーム医療をより深く理解し,がんチーム医療の実践のために必要なスキルセットの概説,チームの一員としてさらに成長するために必要な事項について,患者中心のがんチーム医療の教育・実践を推進するJapan TeamOncology Program (J-TOP)で実際にチーム医療を学んだメンバーが,具体的なケースとともに概説する.
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