2色ページ ライフサイエンス入門・1
ライフサイエンスとはなにか
渥美 和彦
1
1東京大学医学部医用電子研究施設
pp.94-95
発行日 1973年1月1日
Published Date 1973/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916554
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ライフサイエンスの定義
‘ライフサイエンス(life science)とはなにか’という定義を行なう前にまず,ライフ(life)とサイエンス(science)の意義を明確にしなければならない.ライフには,生命という意味と生活という意味があるが,ここでは前者をさすと考えてよいであろう.しからば,サイエンスとはなにかとなると,厳密に規定すると難しいことになるが,ここでは‘客観化あるいは定量化(計量化)してとらえる学問’と考えてよい.次に問題になることは,生命のどの部分を研究するサイエンスかということである.
生命の発生を研究するのか,生命の現象を解明するのか,あるいは生命のサポート(維持)のためのサイエンスなのか.生命に関係する現象あるいは実体をすべて研究するサイエンスとなると,あまりに広範囲になりすぎるようにも思える.しかし,従来のように,生命現象の分子生物学的な解明というように,狭い範囲に限定してしまうのは,かえって生命の実体からはなれてしまう危険性がある。なぜならば,分子生物学的な方法が生命現象を解明する唯一の手段であるという証明がなされていないからである.
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