特集 がん医療における「家族ケアの課題」 ~困難事例への解決アプローチ~
ライフサイクル別 がん患者と家族の問題への具体的アプローチ
子ども ~移植によって引き起こされる家族変動を考える~
三枝 真理
1
Mari SAIGUSA
1
1東海大学医学部付属病院看護部(看護外来)/家族支援専門看護師
pp.143-147
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_143
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小児がん患者の家族の問題点と課題
小児がんに罹患する確率は希少であり,家族にとってまさに青天の霹靂である.本稿では血液がんを取り上げ,家族の支援を考える.
血液がんを発症した病児は即刻,入院して化学療法が繰り返され,治癒が期待されない場合には,さらに強力な造血幹細胞移植(以下,移植)が行われる.移植後生存率は高くなってきたものの,晩期合併症を有する確率は高く,闘病は長期に及ぶ.
突如として始まる家族と離れ離れの闘病生活は,常に病児の命が脅かされるストレスの中にある1).そのため,親と医療者の関係構築が困難になることもあれば,親の関心が病児に傾倒して,きょうだい児の見捨てられる不安などが生じること,そのきょうだい児をドナーにすることの倫理性について問われることもある2).
このように,大きな揺らぎを受ける家族は機能不全となりやすく,それは家族の未来に影響する.
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