COVID-19感染はなぜ血管炎を引き起こすのか？

コロナウイルス（CoV）はRNAウイルスに属し，感冒の原因ウイルスであり，季節性に流行を繰り返し，重症化することはきわめてまれである。ヒトに感染するのは，主に4種類（HCoV2-229E，-HKU1，-NL63，-OC43）であることが知られている1）。新しいCoV感染症としては，2002年に流行した急性呼吸器症候群（SARS-CoV），2012年に中東で流行した中東呼吸器症候群（MERS-CoV）が知られているが，これらの感染は全世界に広がることはなかった。しかし，新型コロナウイルスCOVID-19は，重症な呼吸器感染症（severe acute respiratory syndrome coronavirus 2：SARS-CoV-2）を引き起こし，全世界ですでに200万人以上の死者を出している。特に高齢者や合併症をもつ場合に重症化しやすいことが知られているが，小児や若年者では比較的軽症であることが報告されている。重症化の主な要因は，肺炎と血栓であることがわかってきた。また，小児や若年者では川崎病に類似した症状を呈する症例があることが報告されている。本稿では，COVID-19による血管炎の発症機序，川崎病類似症候群の特徴について解説する。